PoorPoor/影山影司
プアのスイッチ入れといてね。十分休憩終わったらはじめっから」
「うっす」
2066と2070の両肩を、マッサージするように手のひらで揉んだ。
「おはようございまーす」
呼吸のたびに合成燃料の匂いがする。
芸能人特有の笑顔を浮かべ、発声訓練を受けた声で業界挨拶。
プアプアはまるで人間そっくりだ。
第なんとか産業革命によって開発されたプアプアは人間の労働環境を塗り替えた。
人間そっくりのアレは、強い力や複雑な行動こそこなせないが限定された環境下でならそこそこの知能を発揮する。例えばテレビのレポーターや、なんらかの監視などだ。もちろん、教育されていない未知の環境で
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