PoorPoor/影山影司
 
。そして、また同じようにプアプアを膨らませた。五分もすればこじんまりとした、いかにもな洋風喫茶店が一軒出来上がる。自然派ケーキと本物のコーヒーが売りなのよ、と表看板の看板ドールが微笑んだ。周囲にはまったりと焙煎の匂いが満ち、中を覗き込むとすでに二名分、ケーキセットが用意されている。

「ライトスタート」
 ヂレクタの掛け声で、周囲の灯りが燈る。コンクリート張りの古倉庫。壁面には頑強なH型の鉄骨が走る。天井からスクリーンが降りてきて、ちょうど人形劇のように雰囲気が一変する。スクリーンには青空が描かれている。それにサンライトをあてると、まるでスモッグひとつない空のようだ。
「芦人クン、プアプア
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