盟友 ・六九狂 vivienne に捧ぐ /服部 剛
 
どと朧げに夢見心地で 
ガラス越しに目覚めた渋谷の街を照らす 
仄かな朝日を浴びながら 
Zenをもう一口 

床に置いたリュックの開きかけたファスナーの隙間から 
昨夜の朗読会で買ったCDジャケットに描かれた 
vivienneの自画像が 
唇からひとすじの血を流しながら 
ニヤリと僕を見る 

店内にはルイ・アームストロングの嗄れ声で  
「What a Wonderful World」が流れ始め 
スクランブル交差点で立ち止まっていた 
信号待ちの人々はスローモーションで 
まばらに散らばり歩き出す 

渋谷駅前の広場には 
モノクロームの昭和を走った 
[次のページ]
戻る   Point(0)