盟友 ・六九狂 vivienne に捧ぐ /服部 剛
旧い緑の電車が置かれ
車窓に凭れた若者達は
今日会う誰かを待っている
祭日を祝う幾枚もの日の丸の旗が
緑の木々に吊るされながら
秋風に靡いている
今よりもっと若かった僕等は
10年前も朗読会で徹夜した後
開店して間もなかったこのCafeで
肩を並べて人気少ない
夜明けのスクランブル交差点を眺めながら
路上の物語を語らった後
地下道の階段に身を崩して坐る
家の無い男に
一つのパンを手渡しにいった
あれから10年の時は流れて
僕等は少しだけ大人になったろうか?
あの頃思い描いた大人を演じているだろうか?
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