「宏美の心配」/菊尾
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再びいつかの依子が思い出された。あの時依子はブランコを扱いでいた。お酒を飲んだ帰り道、明け方に小学校へ忍び込んで二人でギーコギーコしていた時の会話。
「なんかいい気分だから言っちゃおうかなぁ。あのね、あたしね、増大しちゃうの!」
にっこりと微笑みながら私に投げつけてきた直球であり魔球でもあるその発言は最初私の元には届かず、ああ酔っていらっしゃいますねぇなぁこの娘さん。と思わせる程度だった。
そんな生温い私の視線を察したのか彼女は「わかんないよね。でもね、見てて!」と言い途端にブランコを揺らし始めたのだ。
驚いた。彼女のブランコの扱ぎっぷりにではない。キャーキャーと10代の小娘のよ
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