映画日記、ただし日付はてきとう2/渡邉建志
 
を強く思い出さずにはいられなかった。「殯の森」はストーリーとしてはややリアリティに欠け、横の展開で人を惹きつける映画だとは言いがたい。しかしながら、ところどころに「縦」の瞬間が露呈するところにこの作品の魅力がある。
最後のシーン。主人公の初老の男性が穴を掘る。とにかく掘り続けている。なぜ掘るのか分からないまま、われわれは彼が穴を掘り続ける行為を見続けることを強要される。見る人によっては、単に退屈でつまらないシーンかもしれない。しかし、その行為には、無目的的に見えるがゆえにかえって何らかの彼にとっての切実さが伴っているようにも感じられる。その切実さに共振しえた時、見る人のなかにひとつのメタファーあ
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