映画日記、ただし日付はてきとう2/渡邉建志
 
ーあるいはビジョンが拡がるのだ。このシーンの切実さは、演技者、キャメラ、音声、監督、その場にいたすべての人たちに貫通しているように感じた。そしてその切実さは見る者へまで突き通り、その心の中で拡がりうるものではなかったか。
彼は穴を掘ったあとに、穴にうずくまって寝転がる(この行為もまた何のためだか分からない)。そこへ空からヘリコプターの音が降り注いでくる。ストーリー的に解釈すれば、このヘリコプターは山に遭難した彼の救助のために来たにすぎない。しかし、ここで(映されることのない)ヘリコプター=彼=穴の垂直の関係のなかに、「殯の儀式を終えた彼への天からの祝福」とでも言いうるメタファーが拡がっていないだ
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