共感と反駁と/西日 茜
 
、むしろこれも一部のスタイルとして書き上げた作品なのだと分別できるのだ。

 虚構として豊かな情感をもたらす文学作品はもっとも創造的である。現実と異なる空間の詩学だ。詩作は、混沌とした記憶を単に詰め込むような普遍的イメージで描くのが良いというならば、その観念は作者によって逆転されなければならない。なぜならば、詩を読む者のイメージは特異な詩的空間へと侵入し、さらに内部へ集中した時に体験する内部と外部の弁証法として、「作者の世界」を柔軟に感じ取るからである。そして優れた作品は様々な感性によって客観的に評価されなければならない。

 過去の作品や受賞作に見る手法に自己を重ねてしまうのは共感という
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