世間の捉え方/岡部淳太郎
 
諒解のような、物言わぬ空気を主成分として成り立っています。最近ネット上を中心に幅を利かせてきた感のある「空気が読めない」という言葉などは、世間のこうした特質を実にうまく表現しています。この言葉を投げつける者は世間の側に立っています。もっと言えば、自らが世間の中に飲みこまれてそれに疑問を感じていない状態にあります。そしてこの言葉を投げつけられる者は、世間から離れた位置に立ってあくまでも個人として存在しています(存在しようとしています、と言い換えた方がいいかもしれませんが)。この両者の間の溝はなかなか埋まりません。なぜなら、それぞれに抱える価値観が異なっているからです。世間の方では世間の空気の中に染ま
[次のページ]
戻る   Point(3)