世間の捉え方/岡部淳太郎
 
税金を納めるとか、そういったことです。そのようなことをきちんとやっていなければ、社会に参入したとは言えないのであって、それが出来ない人は真の意味で社会人であるとは言えないのです。社会というものはそうした義務を果たさない者を弾き出してしまう性質を持っていますが、世間にはそのような性質は存在しません。世間とは言ってみれば人々の集る場が作り出す空気のようなものであり、うっかりすると個人がそこに飲みこまれてしまいそうな浸透力を持っています。それゆえに世間は個人にとっては少しばかりタチの悪いものであるのです。
 人が個人として何かを成そうとする時に、まず立ちはだかるのが世間です。世間は人々の間の暗黙の諒解
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