詩の領域2/パンの愛人
 
どちらとも間違っているかのいずれかである。好意的に解釈すれば、「動的なシステム」を説明するのに「内部/外部」といった空間的な比喩を用いたことが間違いのもとになっている、ということになる。しかしそのあとにもつづいて「文学−詩という形でフィードバックする」とあるのだから、話はいよいよ奇怪になる。

 実川氏はあらゆるものを「取り込んで」(あるいは取り込まれて)いく世界を「文学」と呼ぶという。また、ひとによってはそれを「世界」とか「エクリチュール」とか「ノマド的リゾーム」とか「エピステーメー」とかと呼ぶという。なにもそんな衒学的な言葉を使わなくとも、もっと広く一般には、たとえば「ロック」がそのように
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