詩の領域/パンの愛人
みたい。
一見すると、このふたつの文章は対立しているようだが、実際には「対蹠的」と考えた方がいい。相違は、詩あるいは文学観にあるというよりも、対人観にあると見るべきである。それは、もしかしたら年齢の差によるものかもしれない。(いとう氏は41歳ということだが、実川氏はまず20代と見て間違いがない)
ふたりとも自身の説明から入って段々に話が啓蒙的に展開してゆくところは共通していて、だからこそ、ぼくらは「詩の歴史を知っておこうとする努力はすべきだ」も「詩という独立したジャンルがあるような思い込みを捨てろ」も無視して差支えがないわけだ。かれらが詩人であるかは知らないが、詩の愛読者であることは間
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