俺の冒険/日雇いくん◆hiyatQ6h0c
いようにした。
女の顔をしかたなく見るときには、自分の中でその顔に鬼や般若の面のフィルターを掛けた。
女のにおいが強くしてしまう時にはマスクを取り出し、風邪ぎみだと偽ってつけた。
目も悪くないのにカラーグラスをかけ、リアルに見ないようにもした。
さまざまな創意工夫の結果バイトが無事終わると、神経の使いすぎでヘトヘトになった。
働くのがいやになったりもした。
そんなときは家に帰り、カレンダーに働いた日のしるしをつけ、
「あと何日の我慢だ、我慢だ……」
と自分に言い聞かせ、働く意欲を奮い立たせた。
そんな事をして夏が過ぎ、秋が来て、冬を越した。
気がつくと一年ほ
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