つぎに/影山影司
らもっとマシな所へ行けば良かったんだ。七回目の後悔をする。
背中の通信機をガチャガチャと揺らしながら先を走る軍曹について行く。ぐるぐるにまとめた有線がリールからだらだらとのびていく。コレを辿れば不味い飯と堅い寝床の我が家に帰れる。急ごしらえの粗末な家だが、敵がいないだけまだマシだ。モルグルはここが嫌いだ。朽ち果てないビル群。歪んだアスファルト。大流星時代以前の建造物は奇妙なほどに頑丈だ。いや、固定されていると言うべきだろう。時が流れ、地軸が傾き地盤が動き、大地が歪になっても崩壊することなく姿を保っている。
大昔はピサの斜塔、なんてものがあったらしい。こんな傾いたものの何が良いんだ。糞、
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