ー自由に拘束された現代の叫び、アイ・ドント・ノウというバンドについてー/猫のひたい撫でるたま子
ように思います。特に恋愛とは男女が許しあう幸せな時間かもしれませんが、恋愛の切なさ、恋を失った悲しみを歌った様な、そういう歌ばかりが街から聴こえてきます。楽しい音楽だから、聴いていて心地がいいから、恋をしたような気になれるからでしょうか。
またアイ・ドント・ノウの別の曲に「許されてしまうから変われないんだ」という歌詞があります。音楽とは自由なものであるかもしれませんが、楽な音楽ばかりに浸っていられるから、人が許し合っている幻想に陥って見落としてしまっていることがあります。心地のいい音楽が流れ、豊かに見える日本の社会の一方では、欲や憎しみから生まれる残忍な事件、自分が生きてゆくための価値を見出
[次のページ]
戻る 編 削 Point(0)