多重化してゆく夢の記録/佐々宝砂
 
に赤い目、人種不明だがアルビノだ。少し頼りなげな表情で、自信がなさそうだ、コマ落としのようにぎくしゃくと、空中をおっかなびっくり歩いてくる。銀色の円盤が、女性の手に渡される。彼女は、その円盤を操ることができない。別なカメラが会場を写す。女性が白い液体を満たした大きな瓶を抱えている。歩いて会場に入ろうとしてきたごくふつうの女性だ。そこに会場の中から走りかけてきた男が体当たりする。瓶が割れて、白い液体がこぼれちる。画面はホワイトアウト。


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【独白―わたし】
宵闇のなか、ふわり、とわたしの身体は浮かび上がる。慣れてしまえばこんなこととても簡単。でも
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