多重化してゆく夢の記録/佐々宝砂
 
れないような表情で、空中をゆっくり滑りながら会場中央で停止する。銀色の円盤が、女性に渡される。彼女はその円盤を触らずに操り、円盤を会場の玄関口に落下させる。会場の中から走りかけてきた男が円盤にぶつかり、倒れる。そこにごくふつうの女性が白い液体を満たした大きな瓶を抱えて会場に入ってくる。

【シーン7】
シーン6の続き。会場の中空での出来事などなかったみたいに会議がはじまる。白い液体を満たした瓶が検査され、その検査結果が公表されている。OHPが写す難解な科学的説明。どうやら二組の派閥が争っている。片方は汚染があると主張し、片方は汚染などないと主張しているが、牛乳らしきその白い液体が汚染されてい
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