若さと老い/パンの愛人
 
に健全な精神は宿る」というギリシャの教えは現代でもじゅうぶん有効である。しかしわたしはそれでもなお、不健全な肉体にも健全な精神は宿りうることをいくらか信じてみたいのである。

 マルコム・カウリー「八十路から眺めれば」は、八十歳を越えた著者が、老年について、ときには分析的に、ときにはユーモラスに、自分の知識と経験をもとに書いた含蓄のある小著で、これら同年代の人びとへ向けたメッセージからは屈託のないあたたかな親密さを感じとることができ、読後には、はからずもひとつの円熟した人格といったものが生々しい輪郭を持って浮かび上がってくる。
 かれは詩人であり学者でもあった友人のラモン・ガスリの「かずかず
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