尺/榊 慧
が淫らなわけじゃない。どちらかといえばストイックだ。(と主張する。)こうでもしなければ長引くからであって、俺はこの悲観すべき状況から逃れるのを4回目ほどであきらめた。大の大人には決してかなわない。そういうものだ。そうじゃなければ世の中は成り立ってないだろうから、と納得させた。男の息をする音が聞こえる。興奮しているのだ。興奮していることは今俺が握っているものでわかっているけれど。大きいか小さいかは分からない。ただ独特のにおいと熱さを感じる。男が怪しんでいる様なので俺は手を動かした。ドクドクといっているような気がする。男は俺の胸元で探るように手を動かしている。正直あまりうれしくはない。仕方なく口に含む
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