■老犬へ/千波 一也
えなくて。
獣医によれば、
ご飯を食べなくなったら1週間しかもたない。
という話だったらしいのですが、
倒れてから約5ヶ月、
ずいぶんと持ちこたえたものです。
わたしが帰省したのは1週間前。
玄関先に横たわる老犬は、
足がやせ細り、弱々しい姿でありました。
が、わたしがさわるとわかるのか、
見えないはずの目を
こちらに向けて
少しだけ
息をあげていました。
しっぽをふる元気は
もうなかったようでした。
「おまえの帰りを待っていたのかもしれないね」と
母のことば。
わたしは
ただた
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