肉じゃが/かんな
顔してため息ついたのがわかった。
「なにがあったん」
「なんにもないよ」
「皆心配してる」
「してないよ」
確かに世界中の皆が心配はしてないだろうけれども、あんたの親が様子見て来てくれって言ったんよ、なんて説明はしないでもバレてることだろうけれど、つまりはその辺のところがあんたの口からきけないとわたしはこの密度の高い部屋からいつまでも出れないわけで、あんたもいつまでもわたしという密度からは開放されないわけ。
いわゆるプリンになりかけの金髪はどこか乱れていたし、ノーメイクはいつものことなのかわからなかったし、爪はマニキュアの塗るわけでもなく伸びきって欠けていたし、喰う
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