伝書鳩の言伝/セルフレーム
 
っていくものなのです」
私には、意味が分からなかった。

「世界平和」
今は平和なんじゃないの?
この平和は確立されたものなんじゃないの?
それとも今は平和じゃないの?

疑問は、解けなかった。

式典で、たくさんの人達と黙祷をささげた。
式典の帰り、原爆の子の像の前に、祖父と二人で手を合わせた。

祖父は、一言も言わずに立ち上がり、家のある方向へ歩く。

私は、真昼の大空を見上げた。
1匹の鳩が飛んでいく。

足に伝書をのせた、ただの鳩じゃない、伝書鳩。
ぐるりと旋回して、慰霊碑へとまった。
―あれは、曾祖母だ。

こちらを向いて一度微笑んだ。
あれ
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