伝書鳩の言伝/セルフレーム
あれは曾祖母だ。
曾祖母は、ゆっくり鳩を放った。
私の頭上を通過して、像の前で、消えた。
曾祖母の姿も、消えていた。
落とされた言伝を読んだ。
【私たちの世界で、世界平和は、夢のような話でした
でも今の世界ならば、変えてゆけるのです
あなたたちがいるから】
伝書鳩の言伝は、あの頃の人々の想いだったんだ。
真昼の幻は、平和の象徴が運んできた、たった3行ほどの文章だった。
今の世界で、あの頃の夢が、叶えられるだろうか?
―叶えてみせられるだろうか?
この言伝がいつか、「昔の人の理想の世界」になれる日まで。
伝書鳩の言伝
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