ショートショート/水のなかのガラスのように/いすず
 
か。水へ還るとかじゃないんだな。
本当はね、こういいたかった。

ずっと、遠くにも近くにも感じてきたよね、わたしたち。いつも不安だった、いつかはなればなれになることを思うと。
あなたのことも、今なら忘れられる。でも、火傷をしてしまったら、もうあとにはさがれない。
コウをみてるとね、いつも火傷しそうなの。遠くにいても、近くにいても。・・・・・・ずっとそう、感じていた。

そんな恋は、愛じゃないというよね、不安だった、お友達はそろって、あなたなんかやめろというから。

紘一郎が、両手を腰に回して、京子を抱擁した。
かたい、熱い、抱擁だった。
京子の両目からなみだがこぼれた。

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