ショートショート/水のなかのガラスのように/いすず
 
的な不安ていったら、わかるかな。
どうしてそんなものが?
紘一郎が不審をあらわにする。京子はもういちど目を閉じた。

「綺麗なものはね、だいじなの。でもね、手に届かないもの、わたしにとっての意味は」
「それが俺ってことか」
「そうだとしたら?」

いつも、俺のことそんなふうに見ていた?
おまえこそ、手に入らない高嶺の花のように思っていたけどな。
コウはよくそういってたね、カラオケソングでもよく歌ってたし、わたしにもそういったから。
知っていたか、でも、おまえのことは初耳だった。

「水のなか」の「水」って、意味があるのか?
今の様子からヒントを得たの。
ああ、連想か。
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