夏の夜の浜辺を走る /服部 剛
自らの寂しいベールを身に纏う
今迄の自分を打ち破ろうと
夏の夜の浜辺を走る
( 遠くに若者達の花火は上がり・・・
ずぼりずぼり
足首嵌(はま)る砂浜の
空回りをもろともせずに
背後に砂の飛沫を蹴り上げて
( 遠くに海をみつめて佇んでいる
( 親子4人の影があり・・・
波打際を辿りながら
夜風に両腕を広げた僕は
翔べない鳥の姿になって
大きい波の打ち寄せに
一人おどけて飛び跳ねて
( 浜辺の上の道沿いに
( かんかんかん と踏切の鳴く傍らを
( 夜の江ノ電は古都へと走り・・・
仕事帰りに立ち寄る店の
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