行程/縞田みやぎ
るい
こきざみなのがつまりエンジンで
年寄りがポケットを探る手が
やはりこきざみに揺れた
はすむかいの男は喉が悪いらしく
さっきから
座り方をかえている
あんまりたんねんに
切符を見るので
つられてポケットを探った
まだとおく行くのだがつられて
もうすぎましたか
声で知ったのだが彼女で
さしだされた文字づらにはおぼえがなく
やはり自分は眠っていたのだなあ と
ぼんやりと首をかしげてみせる
それでも いつか通ったときに
それはいくつか前の駅だったように思う
わからないです
あらあ とか なにかこぼして
もういちど切符をながめて
まえの
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