ポエム的初恋のひと、平出さんの朗読会に/大村 浩一
 
はないトーンを持っている。
 続く「胡桃の戦意のために」は昨年、英語との対訳版が出たらしい、ぜひ買
わねば。(ファンと言う癖に何故知らないのだ)読んだのは92と 111。92とは
これが私を現代詩に転向させた、あの防火用水のハヤの一節。

#すると、防火用水に若いハヤが跳ねるのだった。早く火事を、と跳ねるのだ
#った。
#                   (「胡桃の戦意のために」 92)

 後のトークで、この連は刊行の頃、古井さんと平出さんが唐十郎の所で呑ん
でいた時に朗読会のようになって、唐十郎が平出さんの「花嫁」を朗読した際
の返礼に古井さんが読んだ連だという。

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