精霊たちが棲む夜には/りゅうのあくび
いつのまにか
媚薬のような
夜の薫りにだけ
包まれていて
目の覚めるような
記憶の途中で
もういちど瞬きする
部屋中は
もう恋の熱で焦げてしまった
黒の色をしていて
夜を想う力は
明かりのない
少しせまい
部屋いっぱいに
一つの優しい
曲線を描いていて
紅く燃えていたはずの
心臓の鼓動が
彩られる本当の色も
果てしもない夜空の中で
鮮やかに黒く染まっている
夜空の奥深く
愛の蜜ひとしずく
堕ちるとき
手と手は
連なった
鉄の鎖のように
にぎられては
きしんでいる
つながれあっている
腕は暗やみの中へと
はがれ落ちるみた
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