遊びについて/パンの愛人
なにも自慢するわけではないが、わたしは遊びの好きな人間である。それは、同等の道徳教育を受けた同世代のひとたちと比べてみても、とくに顕著な例であると思う。たとえ自分は参加していなくとも、遊んでいるひとのことを観察したり、その場の空気に軽く触れたりするだけでも、わたしの心は楽しくなる。こういった心の動きは、理性の力によるものではないから、わからないひとをわからせるには、どんな理屈で説明しようともひどく困難であるにちがいない。なので、わたしは無理してまでその楽しみをひとと分かち合おうとはおもわない。生理的な好悪においては、それを受け入れることとそれを認めることとは、おのずから別問題になるからである。
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