砂丘の花 /服部 剛
 
  私がこの世に産声をあげたのは、一体何故
 であろうか?・・・十代の頃からその問は、
 胸中に芽生えた。あの頃、私の心の土壌に顔
 を出した芽は、現在三十歳を過ぎた私の心の
 土壌深くに根を伸ばし、背丈を伸ばした茎の
 上には、一輪の花の蕾がある。 

  世には無数の花々があるが「私という花」 
 はこの世にたった一輪である。「今」という
 瞬間が二度と無い永遠の数珠の連なりである
 ように、この世という土壌に於いて、すべて
 の人はそれぞれに、唯一無二の花である。  

  もし、今この手紙を読んでいるあなたが、
 無人の砂丘を歩む旅人であり、目の前には、
 果
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