砂丘の花 /服部 剛
 
 果て無い砂丘と空が広がり、時折吹き荒れる
 風に砂塵の舞うなかを歩いているなら、あな
 たは砂塵の渦巻く向こう側に、一論の花の幻
 を探し求めるだろう。 

  その花に宿る精霊の姿を視る時、そこには
 あなたが最も愛した人の顔が現れるだろう。
 そして、花の精となったその人は、あなたに
 たった一言、音の無い声で語るだろう。 

  
( あなたの花を、咲かせてください )


  次の砂嵐が巻き起こり、舞い上がった砂塵
 のすべてが地に落ちた時にはもう、花の幻は
 姿を消しているだろう。目の前には只、果て
 無い砂丘と空が、広がっている。 







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