自分を知ること/結城 森士
 
らおうともせず、女性に対する憎しみから彼女を避け続けた。
「俺ならもっと出来るはずだ、俺ならもっと出来るはずなんだ」その言葉だけが僕を励まし、僕を支えた。2年間の間に僕の取ったすべての行動の源はここにあった。「自分を買いかぶらない方が良い」と言われたあの瞬間を何度も何度も反芻して、それによって更に「俺はもっと出来るはずなんだ、他の凡人とは違う」と思い続けた。
今考えると、まさしくそれは相対的に見れば凡人以下の発想なのだろう。
弱い自分と強い彼女に対して、向かい合うほどの自信がなかったのだ。

なぜあの女性に憧れていたのか。それはきっと彼女が己を知る人間だったからだ。己を知る人間とは、自分
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