「精霊、山の手」/菊尾
 
ある。
「さぁ遠慮しなくていいんだよ。靴は脱ぎなさいね。」
「山の出口だよおっさん!俺が案内してほしいのは出口なんだよ!」
「暖をとっていきなさい。山の夜は冷えるからね。」
「泊まんねーよ!もういいよ!」
俺は一人で来た道を引き返すことにした。

「元々迷っていたのに君は帰れるのかね?すぐに暗くなる。
 悪い事は言わないから今日は泊まっていきなさい。」
見上げると太陽はもう見えなくて空の青さが濃くなっていた。

「マジかよ・・・」
「母さん客人だ!今夜はシチューで頼むぞ!」
家に大声で呼びかけるおっさん
「はぁ・・・なんでこんな見ず知らずのおっさ
[次のページ]
戻る   Point(1)