地上の楽園 /服部 剛
幻のビル群が立ち並ぶ
都会の空の彼方から
沈む夕陽の声がする
( わたしはこの国を、
お前に与えよう・・・ )
群衆に紛れた彼は
空虚に覆われた日々から
脱出する非常口を探していた
ビルの間に夕陽は沈み
仕事帰りの電車のドアに凭れて
車窓に映る街に
地上の星々の灯る頃
宵闇の深まる
家並の隙間から時折聞こえる
獣の嗚咽に今夜も
彼は瞳を閉じる
( わたしはこの国を、
お前に与えよう・・・ )
駅の改札から
吐き出される人々に紛れた彼は
自らの家がある
丘の上へと坂道を往く
振
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