大力の女/チアーヌ
 
いかね」
「ええ、僕は勝ったこと無いです」
「部長!部長だって昔は」
「あはは、僕が相撲を取っていたのはずいぶん昔の話さ。高田君、活躍に期待しとるよ」
「ありがとうございます。がんばります」
「しかしあれですね、この社全体で考えたら、一体誰が強いんでしょうね?」
課長の下川が言い出した、その疑問は、案外誰もが思うことのようだった。
「そうですねえ。そういえば誰なんでしょうね?」
「直接やり合うと、異種格闘技になっちゃうからなぁ」
「社長はあれだよ、柔道で」
「が、古賀専務に学生の頃負けているはずだ」
「高橋常務は、あれだ、少林寺拳法部だったな確か」
「ほう、少林寺拳法」

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