大力の女/チアーヌ
 

「まぁでも何と言っても、経理部の駒井君じゃないですか」
「そうだなあ、駒井君だろうな。何と言っても彼はオリンピック選手だからな」
「全盛期の袴田とやりあって、一歩も引けを取らなかったと言いますよ」
「袴田と言えば、プロレスラーの。ほう、駒井君はやりあったことがあるのか」
「なんでも女を取り合っての路上ファイトだったとか」
「はっはっはっ若いということはいいことだねえ」
「まぁでも駒井君だろうね、それに異存はなさそうだ」
「いえ、この社で一番強いのは、社長秘書ですよ」
酒が入っていたせいかもしれない。俺はふと、口を挟んでしまった。
でも、俺が言い出したことは、総務部では有名な話
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