生育暦/つめきり
くなった。
きょうも天気は、生育暦に隠蔽され、わたし
は部屋で眠る夢を見た。
きみは柑橘の薄皮を、爪できれいに剥いて、
分け合った種の最後のひと粒をたべない。
退化していくさまざまな機能を食べずに
腹の奥で響かせ ハミング
積まれない音と昔を、重ねて歌った
花の種を埋めた。みどりも、いずれあかる
いいろに隠される。
その影が消失したら、目の色が薄くなる。
午後がながくなって
温室では、朝を保って、息を吸い込んだ。
育つこと それなりの濃度を血液のなかに流
して、 夏は待つ春よりも真昼が長いのだ、
わたしたち早熟で、結露が腹からこぼれて薄
くなってい
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