生育暦/つめきり
 
ろにいないでよ、と笑いかけた。暗いあいだ
は、しょくぶつも見てない。きみは「うん」
と言って部屋に、入ってきた。



あめにぬれただけじゃないの、たがいにちが
う冷蔵庫のなかで結露した。わたしたち
ひとつとりだしたグレープフルーツのはんぶ
んずつをフォークで、すくってたべる、晴れ
た日には、きみに生育暦を教わった、糖分で
育ったわたしは、陽光に焦がれるたびに去勢
される肌の色を気にして、「黒いのよ」と言っ
た。きみが白いのは、ははに似ているのだと
言った。短く切った前髪は、ははが千切った
のだとくりかえした。わたしは、髪が伸びる
のもわすれて、顔を隠してあげたくな
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