胎内。/哀詩
と知っていながらも、
確かめざるを得なかった。
衝動。
己には抗えないものがあると知ったのはこの時だったように思う。
しかしある程度すると、
体の下部(今になって思えば正に脚である)を動かす理由は変わってきた。
純粋に狭いのだ。
「蹴る」ことで少し空間が広がることは、
空間を確かめようとしていた頃からの経験で重々承知していた。
ただ体が重かった。
頭が痛かった。
視界なんてものはなかった。
色など知らない。
今で言うなればあれは黒と赤の合いの子のような色、と表すが、
それですら正しくない。
何故ならあれは決して色ではなかったのだ
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