告知の夜 /服部 剛
いた廊下に
びっこを引いた祖母が
屈託のない笑顔でふり向いた
食堂に入りドアを閉めた
傘灯りの下
神妙な顔で座る
父は瞳を潤ませ
ポットからきゅうすに
お湯を入れる
母は眉を顰め
息子は自分の席に
腰を下ろす
「 賭けの手術をするか・・・
それとも余命半年か・・・ 」
父は少し声を震わせ
息子に現実を告げる
「 今まで言ったこともないのに
ありがとう・・・って
言ったのよ・・・ 」
きゅうすから
三人並べた湯飲みに
茶を入れながら
母が言う
この夜を境に
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