『ぬるい包丁』/しめじ
を汲んでやる。コップを渡すと彼女はそれを一息に飲みほした。口からこぼれた水がむき出しの鎖骨にこぼれて玉になっている。女の足はなぜか土で汚れていた。
女の肌は白く瑞々しくて触れると暖かいだろうなと思われた。右腹を下にして寝転がっている女。黙ったまま私の顔を見つめている。早く帰ってほしいような、このまま側にいてほしいようなよく分からない気分になっていた。
「隣にきて」
ベッドの片側を叩いて女は笑った。私は無抵抗に女の隣に横たわる。女の赤い唇が寄ってくる。反射的に瞳を閉じると、女はまぶたに指を触れた。そして親指と人さし指とでまぶたをこじ開けると、そこへ舌先をちょこんとあてた。眼球か
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