アナグマさんとマッチちゃん/縞田みやぎ
 
ともないわ」
マッチちゃんは寝巻きを脱ぎながら、毎日ぶつぶつと言います。
「私が好きでやっているからいいんだよ」
アナグマさんは静かに、ゆっくりとお茶を入れます。
毎晩眠る前には、マロー・ブルーのお茶を入れるのがアナグマさんの役目です。
カップにレモンを入れるのがマッチちゃんの役目です。
お茶を飲む2人の足元で、ごろごろいうのがフランシスの役目です。

ある朝のことでした。
マッチちゃんが起きると、カーテンはまだ閉まったままでした。
いつものようなお湯のしゅんしゅんいう音も、卵を焼く匂いもしません。
暖炉の火もおきのままなので、肌寒く、マッチちゃんは毛布を被って文句を言いまし
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