『横町探訪』/しめじ
休んでいたり、庭の梅木にウグイスが止まっていたりと、のどかな風情。一通の標識多数のため車も侵入して来ない。小学生が自転車で走り回っている程度のものでのんびりしている。遠く中央線の走る音が聞こえる。
萩原朔太郎の『猫町』という短編がある。その中で主人公は散歩中に迷子になり、見知らぬ町に出くわす。その見知らぬ町では何もかもが美しく、魅力的に見えた。家から十五分程度の場所にこんなところがあったとはと主人公は驚く。しばらく町を歩いていると知合いに声をかけられ、そこは家のすぐ側の横町を抜けた先の商店街だったことに気がつく。その瞬間今まで魅力的であった町並みが急に色褪せ、見なれた町に急変する。主人公は
[次のページ]
戻る 編 削 Point(1)