春の近い夏に通う?/吉岡ペペロ
をやりすごし三郎は、排気ガスの残り香のなかをおりてゆく。そういえば、
そういや、あいつもバス使わへんのやなあ、
いちおうバーテンと呼ばれている三郎のバイトは、入学早々の四月からだから、はじめてもう二週間になる。
水曜が休みで、毎日夕方から入って下宿に戻るのは夜中の二時ごろだった。帰りはたいていべろべろに酔っ払ったマスターの加藤さんに送ってもらう。
三郎がまず下宿のまえで降ろされ、お客さんふたりを乗っけた車に、
ありがとうございました、おやすみなさい、
三郎がウィンドウをのぞくようにしてお辞儀をすると、なかから梅ちゃんと香澄さんが手を振る。
も
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