虚偽と忘却のエピソード/atsuchan69
 
散らす!」
 と、メガホンで叫ぶ。「はい、そのあとにすぐ捕獲網の準備、および降下してくるヘリコプターを3カメが追う。7カメ、ちょっと押し倒される野次馬のカットたのむけどいい? 4カメ、俯瞰第2デッキ。中抜きして庭のエンカイに注意!」
 なんだ。映画の撮影かよと、散りはじめた野次馬。
 わたしも会社へ向かう途中だ。今日は昼すぎからとても大事な商談がある。しかしながら交通機動隊、そして警察官らはどうみても本物らしく、若者ひとりと、わたし位の年齢の男がひとり、警視庁のパトロールカーにむりやり乗せられていた。
 ――どうもなんとなく、妙な空気を感じないわけにはいかない。

 出社後。散らかった
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