虚偽と忘却のエピソード/atsuchan69
都道の交わる信号機周辺がやたら賑やかだった。それから駅へ向かって歩き出したが、ブルーシートで覆われた家の付近に巨大な四角ばった肉の塊りが幾つもならべ置かれているのを目撃した。崩れた塀からは、台風の後のようなメチャメチャになった庭を覗かせている。
立入禁止のロープを張られた、「結界」のなかの塊りはどれも緑がかった青色をしており、そこに黒みをおびた縦縞を上下に幾本も走らせて、それはじっさい四角ばってはいるものの、まるで巨大な西瓜みたいだった。しかしまた、ぶよぶよした皮の表面には沢山の萎んだ窪みがあり、そこから伸びた白い糸状の触覚器らしきものも無数にあった。
青の塊りは、まったく静止しているよう
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