Mさん/戸森めめん
 

「こういう雨はすぐ止むんだ」と後ろにいたクラスメートの声が聞こえる。
「そうだね」「そうだよ」「すぐ止むよ」「もうすぐだよ」
(止んだって、こんなに雨が降ったら、もうグラウンドは使えない)
と私は思ったけど、雨音に心地よさにかまけて黙っていた。

ふっと雨音が和らぎ、まるで日が沈んだかのように、グラウンドに影が落ちた。
隣にいたKが声をあげる。
「やっと、きたんだ!」
Kに呼応して、周りのクラスメートが歓声をあげる。

(やっと、止んだではなくて?) と私はKの顔を見ようとしたが、
Kは、小雨の降るグラウンドに駆け出していたので、その顔は見れなかった。

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