串焼き/木屋 亞万
 
し上げましょう。これも分母の底知れぬ運命、空から槍が降って来ただって!それは災難でしたね、お気の毒に」

ゾウの串焼きでもするつもりが、ライオンが串に刺さってやってきた。鴨ねぎinサバンナじゃないか。まだ口には塩味が残っている。かじりつくなら今しかない。耳元では大波が打ち寄せる。獅子鍋はさぞかし旨かろう。
石斧を振りかぶり息の根を止めてしまうべく振りおろす。砂漠の泥のように冷たい目が、私を見詰めたまま地に落ちた。血がしたたる灰色の斧、砂に染み込む赤黒い液体。塩水が私の眼と鼻から流れ出て、きっと海水か、砂にやられた粘膜の分泌液だろう。

ここはどこだったか
私はなぜ目の前の弱った命を右手
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