ノート「序か跋か」より、みっつ。/秋津一二三
 
終わらないんだけれど、相手のことはどうでもいいんだ」
 ん、どういうことだ。と、彼は太い眉をしかめる。
「恋は、その、恋愛感情がなくなるのが終わりじゃないのか。俗にいうと、冷めるって奴なわけだが」
 それもひとつの秘めたまま終わった恋、だと思うよ。と、あたしは認める。
「なんだろね、こう言った方が分かりやすいかも、永遠の片想い。片想いも恋だよね。でも、永遠に実ることはない片想いはある意味で恋ではなくなってしまってるんだよ」
 ふぅん。つまり、相手のことはどうでもいいってのは、自分の恋感情が最優先だから、どうでもいいってことか。と、彼は呆れた顔をする。
「でも、好きなんだろ。
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